ウイスキーの基礎知識 Basic Whisky Knowledge

ウイスキーとは、どういうお酒なのか。
モルトウイスキーとは、グレーンウイスキーとは。​
ウイスキーの定義や種類、つくり方など、知るほどに
ウイスキーを愉しめる基礎知識をまとめました。

What's Whisky ウイスキーとは

ウイスキーの定義

ウイスキーの定義は国により異なりますが、次のように言えます。

穀物を主原料とし、糖化・発酵・蒸溜を行い、
木製の樽で貯蔵・熟成した蒸溜酒

穀物とは主に大麦麦芽(モルト)やとうもろこしなど。小麦やライ麦などが使われることもあります。また、「木製の樽で貯蔵・熟成」することが一般的です。

※画像はイメージです

ウイスキーの種類

大麦麦芽(モルト)が主原料のウイスキーはモルトウイスキー、
とうもろこしなど大麦麦芽以外の穀物が主原料のウイスキーはグレーンウイスキーと分類されます。
さらに製法によりシングルモルトウイスキーやブレンデッドウイスキーなどに分けられます。

ウイスキーの種類

・シングルモルトウイスキー

単一の蒸溜所でつくられたモルト原酒だけをブレンディング​(混和)したウイスキー。蒸溜所を取り巻く自然環境やポットスチルなどの製造設備に由来する蒸溜所ごとの個性が強く表れます。
シングルモルト余市

シングルモルト余市
(シングルモルト)

シングルモルト宮城峡

シングルモルト宮城峡
(シングルモルト)

・シングルカスクウイスキー

熟成を重ねたひとつの樽のウイスキーを、簡単なろ過のみでそのまま瓶詰めしたウイスキー。加水せず、アルコール分55~60%程度のものが多くあります。

・ブレンデッドモルトウイスキー

複数の蒸溜所でつくられたモルト原酒をブレンド(混和)したウイスキー。ニッカウヰスキーでは、自社蒸溜所で製造した原酒によるブレンデッドモルトを「ピュアモルトウイスキー」と呼んでいます。「竹鶴ピュアモルト」の場合は、余市と宮城峡、両蒸溜所のモルト原酒の個性が融合し、それぞれのシングルモルトとは違う魅力を生み出しています。
竹鶴ピュアモルト

竹鶴ピュアモルト
(ブレンデッドモルト​)

ニッカセッション

ニッカセッション
(ブレンデッドモルト​)

・グレーンウイスキー

とうもろこしなどを主原料に発酵のための大麦麦芽を加え、連続式蒸溜機で蒸溜してつくられるウイスキーです。連続式蒸溜による軽やかでなめらかな酒質や、やさしい甘さが特徴です。ブレンデッドウイスキーを構成する重要な要素のひとつでもあります。
ニッカカフェグレーン

ニッカカフェグレーン
(グレーン)

・ブレンデッドウイスキー

モルト原酒とグレーン原酒をブレンディングしたウイスキーです。樽の種類や熟成年数などが異なるさまざまな個性のモルト原酒とグレーン原酒を組み合わせ、緻密なバランスで仕上げられます。
フロム・ザ・バレル

フロム・ザ・バレル
(ブレンデッド)

ニッカフロンティア

ニッカフロンティア
(ブレンデッド)

熟成年数について

数字以上の熟成年数を
経た原酒がブレンド
熟成年数(エイジング)の表記は、そのウイスキーにブレンドされているすべての原酒が、数字の年数以上に貯蔵・熟成したものを使用していること。例えば「10年」と表記されているブレンデッドウイスキーの場合、モルトもグレーンも10年以上。そこには15年以上貯蔵の原酒がブレンドされている場合もあります。逆に、数種類の原酒の中にひとつでも10年未満のものがあれば、「10年」と表記することはできません。
熟成年数について

ウイスキーの
賞味期限と保管方法

開封前の賞味期限
アルコール分が高いウイスキーは品質が安定しています。未開封で保管状態が良ければ10年以上経っても中味に大きな変化がないため、賞味期限は定められていません。しかし、時間経過とともに保管の状況が変わることも考えられますので購入後は早めに味わうことをおすすめします。
保管のポイント
高温や冷え過ぎ・急な温度変化・多湿を避け、できるだけ光(紫外線)を当てないことが重要です。箱つきのウイスキーは箱を捨てず、箱に入れての保管をおすすめします。冷蔵庫は冷え過ぎ・振動があるためNG。また、液漏れなどを防ぐためボトルを立てて保管するのが基本です。さらに、石鹸や防虫剤など匂いの強いものとは一緒に置かないようにしてください。
ウイスキーの賞味期限と保管方法

Malt Whisky

Whisky Making ウイスキーができるまで

モルトウイスキーとグレーンウイスキーは、糖化・発酵・蒸溜・貯蔵といった基本的な製造の流れは同じですが、
原料の違いに加えて蒸溜方法などが異なります。比較してご覧ください。

Malt Whiskyモルトウイスキーが
できるまで

ウイスキーができるまで

01.原料

ウイスキー製造に適した二条大麦を発芽させ、大麦麦芽(モルト)をつくります[製麦]。加えて、仕込水として使用する水質の良い水が欠かせません。
ニッカの余市蒸溜所は余市川上流の水、宮城峡蒸溜所は新川の伏流水を仕込水として使用しています。

MORE

※画像はイメージです

MORE
二条大麦(barley)を
麦芽(malt)にすることで
ウイスキーが生まれる
収穫後、一旦乾燥したウイスキー用の二条大麦を水に浸して空気にさらす作業を繰り返し、発芽を促進。発芽時に生成される酵素が、大麦のデンプンをアルコール発酵に必要な糖(麦芽糖)に変える働きをします。モルト(malt)ウイスキーと言われるゆえんです。
ピートの焚き込みが
ウイスキーのスモーキー
フレーバーに
発芽が進み過ぎると糖分が失われるため、適度なところで乾燥し発芽を止めます。その際、スコットランドなどで乾燥の熱源として燃やされていたのがピート。ピートは寒冷地の湿原でシダやコケ類、草、灌木、ヘザー(ヒース)などが長い年月をかけて堆積してできたもので、日本では泥炭、草炭などと呼ばれます。

その燻煙は大麦麦芽に独特の風味を与え、“ウイスキーといえばスモーキーなお酒”となりました。現在はピートを使わない熱風乾燥もあり、ピートを焚き込む目的は乾燥ではなく主に香りづけとなっています。
CLOSE

02.仕込(糖化)

大麦麦芽(モルト)を粉砕し、仕込水(温水)を加えてよく混ぜ、おかゆ状にします。ここで麦芽に含まれる糖化酵素が働いてデンプンが麦芽糖に変わり、甘い麦汁ができあがります。

03.発酵

麦汁に酵母を加えると、発酵が始まります。2~3日間をかけて酵母は麦芽糖をアルコールと炭酸ガスに分解。麦汁は7~9%のアルコール分を含んだビール状の液体に変わり、これをもろみと呼びます。

04.蒸溜

モルトウイスキーの蒸溜は銅製の単式蒸溜器(ポットスチル)で行われます。もろみを蒸溜器に入れて加熱。アルコールや香気成分を含んだ蒸気を取り出し、冷却して液体化します。アルコール分を高めるためスコットランドや日本のウイスキーは2回の蒸溜(初溜・再溜)が行われます。

MORE
MORE
単式蒸溜器(ポットスチル)
材質は銅100%
ウイスキーづくりのポットスチルはすべて銅製。加工しやすく、熱伝導に優れていることから伝統的に材料として用いられてきました。さらに、銅は不快な香りをもたらす硫黄成分などを取り除く作用があり、ウイスキーの風味形成に寄与します。
形・大きさ・加熱方法でウイスキーの味わいが変わる
一般的に下記の条件で、力強く重厚な酒質と軽くすっきりした酒質に分かれます。
  • 力強く重厚な酒質
    • ・ヘッドの形状:ふくらみがない(ストレートヘッド型、オニオン型)
      ※余市蒸溜所はストレートヘッド型
    • ・ラインアーム:下向きで短い
    • ・大きさ・高さ:小型で低い
    • ・加熱方法:直火焚き(石炭またはガス)
      ※余市蒸溜所は石炭直火蒸溜
  • 洗練されたなめらかな酒質
    • ・ヘッドの形状:ふくらみがある(バルジ型、ランタン型)
      ※宮城峡蒸溜所はバルジ型
    • ・ラインアーム:上向きで長い
    • ・大きさ・高さ:大型で高い
    • ・加熱方法:間接加熱(スチーム)
CLOSE

05.貯蔵・熟成

無色透明でアルコール分60%程度の蒸溜液(ニューポット)を樽に詰め、倉庫で貯蔵します。内側を焼いた樽から木材成分が溶け出したり、樽材を通して空気と接触したりすることによって蒸溜液の香味は複雑になり、琥珀色を深めながらまろやかさを増していきます。

MORE
MORE
ウイスキーの樽と貯蔵庫
樽の材質や大きさ、履歴によって香味が変わる
ウイスキーは、一般的に樽のサイズが小さいほど原酒の熟成が早く進行。長期熟成には大きな樽が向いているとされています。また、樽は内側を焼いて使いますが(チャーまたはトースト)、焼き直しや板の交換・補修などを繰り返し、60~80年ほど使われます。内側を焼いた直後の樽に貯蔵された原酒ほど香りや味わいに樽の個性が表れます。
貯蔵庫の環境がウイスキーの熟成に作用する
スコットランドの伝統的な貯蔵庫は、土の床に木のレールを敷き、その上に樽を並べていきます。これはダンネージ式と呼ばれ、樽は3段程度までしか積み重ねません。

一方、ラック式と呼ばれる貯蔵庫は巨大な金属製の棚に樽を並べ、何段も積み重ねていく方式。近年は高層化が進むとともに、コンピュータ制御で機械が自動的に樽を取り出したり、樽の場所を変えたりしながら樽ごとに熟成をコントロールしています。

貯蔵庫内での置き場所・積み上げる段数、貯蔵庫を取り巻く自然による気温・湿度といったさまざまな要素が複雑に作用し、樽ごとに違う個性のモルト原酒が熟成していきます。

「天使の分け前」とは
ウイスキーが樽熟成する間に蒸発していく分を「天使の分け前(エンジェルズシェア)」と呼びます。その分け前は一般的に年に2~3%程度ずつと言われています。さらに貯蔵庫の温度・湿度などに影響され、乾燥して暖かい場所ほど減る量が多くなります。
CLOSE

06.混和(ブレンディング)

ブレンダーが決定したレシピ(処方)に基づいてモルト原酒が混和されます。同じ麦芽や酵母を使ってつくった原酒でも樽ごとに個性が違うため、混和によって商品の味わいを均一に保っています。

07.ろ過

フィルターを通して不純物を取り除きます。低温になると白濁する成分を取り除くため冷却ろ過(チル・フィルタリング)を施すのが一般的ですが、あえて常温でろ過(ノンチル・フィルタリング)する商品もあります。

08.加水・ボトリング

アルコール分が60%前後のモルト原酒を、スタンダード品として所定のアルコール分(40%程度が多い)に調整するため精製した水を加え、その後、ボトリングします。

Grain Whiskyグレーンウイスキーが
できるまで

ウイスキーができるまで

01.原料

一般的な主原料はとうもろこし。未発芽の小麦や大麦も原料となります。
副原料として大麦麦芽が加えられますが、これは主原料となる穀物を大麦麦芽の酵素力で糖化させるためです。

※画像はイメージです

02.仕込(糖化)

粉砕したとうもろこしに温水を加えて混ぜ、加熱・蒸煮。
冷ました後、粉砕麦芽と温水を混ぜておかゆ状にしたものを加え、糖化を行います。

03.発酵

糖化液を発酵槽に移し、酵母を添加。モルトウイスキーよりやや長く3~4日間ほどかけて発酵させ、アルコール分8~11%程度のもろみをつくります。

04.蒸溜

グレーンウイスキーの蒸溜は連続式蒸溜機、ニッカでは主にカフェ式連続式蒸溜機で行われます。連続式蒸溜機は、例えれば、単式蒸溜器の機能を持つ部屋を数十段重ねてつなげた塔のような大型の機械。連続してもろみを投入し、機械の中で繰り返し蒸溜できるため1回の稼働でアルコール分90%以上の蒸溜液を大量に取得できます。これにより、とうもろこしなどの穀物を原料としたグレーンウイスキーづくりが本格化。1860年のブレンデッドウイスキー誕生につながり、ウイスキー界に大変革をもたらしました。

MORE
MORE
カフェ式連続式蒸溜機(カフェスチル)
原料由来の香りと成分を残す
宮城峡蒸溜所の連続式蒸溜機は1830年頃、イニアス・カフェが開発したもので、カフェ式連続式蒸溜機(カフェスチル)と呼ばれます。連続式蒸溜機の中でも旧式のもので、アルコール精製度や蒸溜効率が劣る反面、蒸溜液に原料由来の香りと甘み、コクを残します。ニッカが1960年代に導入したカフェスチルはもろみ塔と精溜塔の2塔式ですが、効率を追求した現在の一般的な連続式蒸溜機(コラムスチル)は4塔から10塔以上のものが主流となっています。
CLOSE

05.貯蔵・熟成

連続式蒸溜機による蒸溜液(ニューメイク)はアルコール分が90%以上。そのため加水してアルコール分を60%程度に調整し、樽詰め・貯蔵します。

「ニッカ カフェグレーン」など、グレーンウイスキー単体として商品化される場合を除き、多くのグレーン原酒はブレンデッドウイスキーの構成原酒として用いられます。

Blended Whiskyブレンデッドウイスキー
ができるまで

ウイスキーができるまで
混和(ブレンディング)
ブレンデッドウイスキーは、モルト原酒とグレーン原酒を組み合わせてつくられます。一般的に、モルト原酒が香味の個性や骨格を担い、グレーン原酒は全体の調和やなめらかさに寄与。混和されたウイスキーは、必要に応じて加水やろ過が行われ、ボトリングを経て商品として完成します。
後熟・マリッジとは

モルト原酒とグレーン原酒をブレンドした後で、互いをなじませるために再度樽詰めし、数カ月熟成させること。この工程で個性の違うウイスキーがなじみ、調和のとれたおいしさが生まれます。ニッカの商品では「フロム・ザ・バレル」などがマリッジを行っています。なお、樽は個性が出ない旧樽が使われます。

TOP