*Firefox最新版をご利用のお客様へ* ページの背景画像が正しく表示されない場合、こちらをクリックお願いします。

ニッカウヰスキー > 宮城峡蒸溜所 > 宮城峡蒸溜所について

宮城峡蒸溜所について

1竹鶴が選んだ挑戦の地

さらなる夢・第二の蒸溜所

1918年に単身スコットランドへ渡り、不屈の精神でウイスキーづくりを学んだニッカウヰスキー創業者・竹鶴政孝。北海道・余市蒸溜所につづき、彼がひらいたニッカウヰスキー第二の蒸溜所がここ、宮城峡蒸溜所です。
竹鶴は異なる蒸溜所で生まれた複数の原酒をブレンドし、より味わい深く豊かなウイスキーをつくりたいと考えていました。この大きな夢を叶えるために選んだのが仙台の街から西へ約25km、山形との県境に近い緑豊かな地。広瀬川と新川というふたつの清流に囲まれた峡谷だったのです。

手間を厭(いと)わず挑戦を忘れない

異なる個性を備えた複数の原酒をブレンドし、スコッチに負けない味わい豊かなウイスキーをつくる。その夢を実現するために、宮城峡蒸溜所では力強く重厚な余市モルトと異なるタイプのモルト原酒をつくらなければなりません。そこで竹鶴は、蒸溜方式においても余市の石炭直火蒸溜とは違う、スチームを使った「蒸気間接蒸溜方式」を採用。当時30代の若いスタッフたちとともに、華やかでフルーティーな原酒づくりに挑みました。
成功を収めてもさらに高みを目指しながら、人を育てた竹鶴政孝。
その情熱は、ウイスキーの未来をひらくさまざまな試みとして、宮城峡蒸溜所に受け継がれています。

写真左)蒸気間接蒸溜 右)カフェ式連続式蒸溜

写真左)蒸気間接蒸溜 右)カフェ式連続式蒸溜

受け継がれる樽づくりの技

 

竹鶴政孝は余市でウイスキーづくりを始めるにあたり、ビール樽づくりで熟練の腕を持つ樽職人を招きました。初めてウイスキー樽に挑戦した職人は研究を重ね、程なく竹鶴が認める高品質なウイスキー樽をつくりあげました。これがニッカウヰスキーの樽づくりの礎です。その後、宮城峡蒸溜所はニッカウヰスキーの製樽部門の主力として稼働してきました。 樽はほとんど手作業によってつくられる上に原料となる樽材にはひとつとして同じものはないため、職人は師匠に付いて技術を習得します。竹鶴は樽職人に「僕はいいウイスキーをつくる。君たちはいい樽をつくってくれ」と声をかけたと言います。歴代の職人たちによって磨き抜かれた技術は、さらに後人へと受け継がれていくのです。

2蒸溜所の歴史

緑豊かな挑戦の地

竹鶴が第二の蒸溜所建設の地を探し求めていた頃、ニッカウヰスキーは日本で初めてモルトウイスキーとグレーンウイスキーをブレンドした「ハイニッカ」を発売し、ブームを巻き起こしていました。日本にウイスキー文化が浸透しつつあった時代背景も、第二の蒸溜所建設を後押ししました。

のちに竹鶴の後を継ぎニッカウヰスキー社長となる長男・威をはじめ、スタッフが全国で調査をスタート。いくつもの候補地の中から竹鶴政孝が選んだ地が、広瀬川と新川というふたつの清流に囲まれた、杜の都・仙台の西に位置する緑の峡谷でした。竹鶴は初めてこの地を訪れた時、新川の清流で持っていたブラックニッカを割って飲み、味わいを確認してすぐに蒸溜所建設を決定したと言われています。

竹鶴威(左)と政孝(右)

竹鶴威(左)と政孝(右)

建設当初の宮城峡蒸溜所

建設当初の宮城峡蒸溜所

自然への敬意に満ちた設計思想

「自然を大切にしなければおいしいウイスキーはつくれない」という竹鶴の信念に基づき、1969年に開設された宮城峡蒸溜所。樹木の伐採は最低限に留め、電線はすべて地下に埋設しました。製造工程ごとに分けられた建物の高さがそれぞれ異なるのも、自然への配慮。敷地を平らにならして全工程を同じ建物に入れるのが効率上は合理的ですが、本来の土地の起伏を活かしたのです。 受付を入口から600mも入った場所に置いたのは、訪れる人たちに鎌倉山をバックにしたレンガ造りの建造物を見てもらうための演出。昭和の高度成長期にできた工場としては極めて先進的な、自然との共生と調和を目指す思想にあふれています。

3原酒の特徴

蒸気間接蒸溜への挑戦

竹鶴が宮城峡蒸溜所で選択した「蒸気間接蒸溜方式」はスチームを使い、じっくりと130℃ほどで蒸溜する方法です。ポットスチルも余市と異なり、上向きのラインアームを持ち胴体部分に丸い膨らみのある「バルジ型」。
蒸溜所開設当時、スタッフの中に蒸気間接蒸溜を経験したことのある者はいませんでしたが、竹鶴がスコットランド留学で得た知識をもとに試行錯誤を重ね、華やかでフルーティー、豊潤な個性を持つ原酒づくりに成功しました。

みずみずしい緑あふれる森深い峡谷

宮城峡蒸溜所があるのは、緑豊かな森に包まれた静かな峡谷。広瀬川と新川というふたつの清流に囲まれ、一年を通じて霧や靄が蒸溜所を包み、冬の間は雪も多く降り積もります。森から生まれる湿潤で澄んだ空気が貯蔵庫の樽を乾燥から守り、豊かな香りを湛えた原酒はおだやかに熟成を重ねていくのです。
仕込み水として使われているのは、蔵王連峰を経て流れてくる清らかな新川の伏流水。日本各地の蒸溜所が使っている水の中でも硬度(公表値)が低く、ウイスキーづくりに邪魔な成分がほとんど含まれていません。

華やかでフルーティーな宮城峡モルト

 

果実を連想させる、みずみずしく華やかな香り。かろやかでスムース、それでいてふくよかな甘さを感じさせる味わいの宮城峡モルト。上向きのラインアームを持つバルジ型のポットスチルでじっくりと蒸溜されるため、蒸溜の過程で蒸気と香味成分が何度も繰り返し釜に戻り、その間に洗練された香りと味わいへと凝縮されていくのです。
フルーティーでまろやかなシングルモルトとして多くの人を魅了するだけでなく、ピュアモルトウイスキーやブレンデッドウイスキーに欠かせない原酒として、ニッカウヰスキーのおいしさを支えています。

ニッカが誇るカフェグレーン

竹鶴が目指したブレンデッドウイスキーづくりに欠かせないもうひとつの原酒が、とうもろこしなどの穀物を主原料とするグレーンウイスキー。宮城峡蒸溜所では、竹鶴政孝がこだわり抜いて導入したカフェ式連続式蒸溜機「カフェスチル」が今も稼働し、香味豊かなグレーン原酒・カフェグレーンをつくり続けています。
カフェスチルは導入した1960年代初頭当時でも既に旧式とされていた蒸溜機で、雑味となる成分が残りやすいのですが、技術によってそれを原料本来の香りや甘みに変えることができるため、竹鶴はあえてこの旧式蒸溜機を選びました。
香りや味わいが淡白な通常のグレーンウイスキーと異なり、カフェグレーンは穀物の甘い香りやクリーミーなコク、ほのかな甘さが特徴。ニッカウヰスキーのブレンデッドウイスキーに豊かな香りやコクを加える役割を果たすだけでなく、単独で商品化されました。日本に先駆けて発売された海外にもファンが多く、数々の国際的な賞を受賞しています。

さらに、カフェスチルを使った新たな試みとして、大麦麦芽を原料とした「カフェモルト」が誕生。モルトの甘さと芳しさが際立つ新しいグレーンウイスキーとして、世界で絶賛されました。「カフェジン」「カフェウオッカ」も、カフェスチルによる革新的なホワイトスピリッツです。
ニッカウヰスキーが誇る稀少な資産、カフェスチル。現在主流となっている連続式蒸溜機と比べると生産効率が悪く、操作にも熟練の技が要求されますが、これからもさまざまなイノベーションを生み出していくことでしょう。

蒸溜所見学はこちら