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グラスゴー大学

グラスゴー大学

グラスゴー大学はイギリスでオクスフォード大、ケンブリッジ大、St・アンドリュース大に次ぐ歴史を持つ大学であり、父が渡英してすぐに“外国人聴講生”として籍を置いた大学だ。

グラスゴー大学は、出張の際に一度だけ入ってみたことはあったものの、今回のように公式に訪れることは初めてであり、ましてやGreame Davis学長が我々一行をもてなしてくれるとは想像だにしていなかった。

当時父が学んだであろう教室などは明らかにならなかったが、卒業式が行われるホールや1870年から使われている教室などを見学することができた。

また今回の訪問にあわせて大学は、1919年、実に83年前の父の写真や直筆の入学許可書(Matriculation Album)を用意してくれており、我々に見せてくれた。

歓迎の夕べでGreame Davis学長から、次のような祝辞をいただいた。
「20世紀初頭には、造船で栄えた町グラスゴーには多くの日本人が産業を学びに来ていたが、あなたの父竹鶴政孝は、当時重工業のほかに重要な学問(ウイスキー製造)があることを知っていた。

竹鶴がスコッチウイスキーづくりを日本に伝え、今日の日本のウイスキー文化を作り上げたことに敬意を表したい。またそのことに当大学が貢献できたことを嬉しく思う」

父はこの大学に籍を置いたことでウィルソン教授と出会い、ウイスキーの製造を学ぶことができた。父にとってグラスゴー大学は、日本にウイスキーをもたらすことになったスタートラインである。

それから80年以上が経ち、父の学んだウイスキーづくり、我々が続けてきたウイスキーづくりが、今回のように“ウイスキーのふるさと”の方々に認められようとしている。

その発端を与えてくれた大学に深く感謝したい。

ニッカウヰスキー(株)から幾ばくかの寄付を、大学に対して提供した。Greame Davis学長には「今後、化学を学ぶ学生のうち最も優秀な学生へ送る“Taketsuru Prize”として、政孝さんのような学生のために末永く活用したい」というお言葉をいただいた。